• Queensland

1kmも走れなかった私が、『ゴールドコーストマラソン』を完走するまで

2025.05.09

走るのは、大の苦手

小さな頃から運動は得意な方で、小学生の時にはハードル走で市総体3位になったこともある。でも、長距離走は大の苦手で、持久走ではいつも最後から数えた方が早かった。

社会人になってからも、優雅に走るランナーを見ては憧れつつ、「自分には無理だな」と遠い世界の人たちのように感じていた。

そんな私が、まさかマラソンに挑戦することになるなんて思ってもみなかった。

現地のヘルシーランナーに魅了されて

ゴールドコーストに来て驚いたことの一つが、海沿いをランニングする人たちの多さ。

まさに“ザ・ヘルシーライフ”というような景色で、ティーンエイジャーからおじいちゃんおばあちゃん、ベビーカーを押しながら軽やかに走るママさんまで、本当に多くの人たちが気持ちよさそうに走っている。

▲まだ暗い早朝6時から走る人々。

そんな光景を見ているうちに、「その感覚を自分も味わってみたい」と、ふと近くのビーチへ。

マイペースでなんとか1キロ(本当にこれが限界だった)走りきり__「なにこれ、めちゃくちゃ気持ちいい!」

これまでの「走る=苦痛」のイメージが少し変わった。

楽しめた理由は大きく2つ。1つ目は、景色が美しくて飽きないこと。広い海を見ながら、道ゆく人や犬を眺めながら走るのは、まるでエンタメの中にいるよう。

夕方に走って、タイミングが合えば美しいサンセットを見ることもできる。

走った後は、海で足をつけてクールダウン。この瞬間が最高に気持ちいい!

2つ目は、走る環境が整っていること。ベンチや簡単な筋トレ設備まである。

ジムに通う友達も多かったけれど、私はジムよりも「このビーチランを続けてみたい」と思うようになっていた。

ステップバイステップ

ある日知った「ゴールドコーストマラソン」の存在。世界中から約3万人のランナーが集まるビックな大会で、日本人参加者も毎年1000人ほどと海外マラソンとしてはハワイのホノルルマラソンに次いで多いらしい。

「興味はあるけど、私の体力でマラソンなんて無理じゃ…」と思っていたが、調べてみると距離が選べると知る。それなら挑戦してみよう。オーストラリアで新しいことにチャレンジしてみたい、そんな気持ちで「5キロマラソン」に申し込んだ。

陸上経験のあるKenからのアドバイスを受け、まずは3キロから練習をスタート。最初はお腹が痛くなったり、すぐ息が上がったり、何度も足を止めながらの練習だったけれど、少しずつ走れる距離が伸びていった。数字として成長が見えると、達成感がある。それが、次の練習のモチベーションにもつながった。

▲現地でマラソンのために買ったasicsのお気に入りシューズ。

当日レポ:ついに、マラソン本番!

当日、会場近くのトラム駅はランナーで大混雑。すでにフルマラソンを終えた人たちとすれ違いながら、「本当に走りきれるかな」と不安が押し寄せてきた。

ホストマザーと友達の声援を受けて、スタート地点に立つ。合図とともに、一斉に走り出すランナーたちの中で、自分もその一人になっていることが夢のようだった。

▲スタート地点で待っている瞬間。ちょっと気持ち悪くなるくらい胸がドキドキ(笑)

コースはゴールドコーストの海沿いに広がる平坦な道。何度か足を止めたくなったけれど、沿道から聞こえる「You can do it!」の声が、心を支えてくれた。タイムよりも、「止まらずに走り切ること」が目標だった。

そのゴールラインを、自分の足で越えたときの感覚は、言葉にできないほどの達成感と幸福感に包まれていた。

「できない」は、自分の思い込みかもしれない

Kenが言っていた、「ランニングは一夜漬けができない。毎日の積み重ねがタイムに出る」という言葉が心に残っている。

私はこれまで、勢いで始めては続かないことが多かった。でも、オーストラリアでは「変わりたい」「最後までやり遂げたい」という気持ちが強かった。タイムが伸びずに落ち込んだ日も、雨で気が乗らなかった日も、とにかく毎日走った。逃げずに向き合っていた自分を、前よりも少しだけ好きになれていた。

「できない」と思っていたことが、「やってみたら案外できた」に変わる瞬間。その積み重ねで、どんどん自分の可能性は作れるのかなと思えた体験だった。

迷ったら、失敗してもいいからチャレンジしてみる

「一緒にマラソン出よう」と声をかけると、多くの人が「走るの苦手だから」と答えた。私もそうだった。でも、あの頃の私が1キロも走れなかったことを思うと、今の自分に驚く。大会に参加する人は自分の目標があって歩きながら参加する人もいるので、早く走れないことは気にしなくてもいい。

何かチャレンジをしたいと思った時、それが今の自分の実力以上のことのように感じたら「今の自分には無理か…」ともう1人の自分がささやく瞬間って誰にでもあるように思う。チャレンジしたとしても、自分が思うような結果を得られないことは山ほどある。わたしにも、希望編入先の大学の試験で落ちたこと、本当に働きたい会社に応募して書類選考で落ちる、想いを寄せているけど片思いで終わってしまった恋愛_数えきれない程ある。

だけれど、自分から「チャレンジする!」と手を上げない限り可能性は絶対に0%。ネットや誰かの感想を聞いても、自分の心がどう感じるかは飛び込んでみないと分からない。意外と結果が悪くても、その過程の中で感じたこと、出会えた人、経験したことは自分だけの財産になってひょんなタイミングで役立つことがある。

そして「マラソンなんて一生縁がない」と思っていた私が、楽しみながら走ることができた要因の1つにオーストラリアという環境があったのも事実。自然の中で思いっきり走り抜くのは、本当に気持ちが良い!

もし今、オーストラリアで新しいことにチャレンジしてみたいと思っている人がいたら、ゴールドコーストマラソンはきっとそのきっかけになるかもしれない_♡